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​筋ジストロフィー症
筋ジストロフィーとは

筋ジストロフィー症とは

 

筋ジストロフィー(正確には進行性筋ジストロフィー、略して(筋ジス)は、身体の筋肉が

段々と弱くなる病気です。

 

様々な病型と発病の時期によって進行が違います。一般に知られているのは、最も重症で患者数も多く、デュシェンヌ型筋ジストロフィー(Duchenne Muscular Dystrophy:DMD) です。

 

筋ジストロフィーは,あくまでも筋肉自体の病気であって,運動神経の障害による筋萎縮症(神経原性筋萎縮症)とは区別されています。

 

      肢帯型筋ジストロフィー(LGMD)

55年前に肢帯型筋ジストロフィー と診断されました。当時、この病型に分類されなかった種々雑多な疾患が含まれていました。

診断方法と研究の進歩により遺伝形式、異常部位によって細分化が進んでいます。

 

常染色体劣性遺伝がほとんどです。父親と母親が同じ特性の遺伝子を持っていれば、

初めて子供に現れて来ます。

このような特性を持つ遺伝子を劣性遺伝子と言って、その遺伝形態を劣性遺伝と言います。

 

両親ともに問題のある劣性遺伝子を持っていますが、二人とも正常な遺伝子とペアで

持っているため、劣性遺伝子の特性が出なく、発症していません。

つまり両親が保因者だけです。子供が両親の問題のある劣性遺伝子の両方ともを

引き継いだ時、初めて発症します。

 

その確率は25%です。そのため孤発例が多く、血縁者に同病がある例は少ないです。

 

優性遺伝(片親が発症している場合)の肢帯型筋ジストロフィーの例がありますが、

非常にまれなケースです。

 

発症年齢は、小児期から成人までと幅が広く,10~20歳代が多いです。上下肢の近位筋(肩周辺、腰周辺)の障害から始まるので、肢帯型と呼ばれています。

             

           

肢帯型の分類

 

常染色体優性遺伝形式のものをLGMD1、常染色体劣性遺伝形式のものをLGMD2とし、遺伝子座位が明らかになった順に、A、B、C、D、を付けて分類されています。

 

現在までに、明らかになっているのは、合わせて15の型です。その中、優性遺伝を

とるものには5つの型が知られています。残りの10型は、常染色体劣性遺伝を示す

ものです。

 

進行の緩やかな肢帯型筋ジストロフィーがほとんどを占めていますが、私のように

小児期(10歳以下)に発症すると、デュシェンヌ型筋ジストロフィー と同様の経過を

示す重症型(LGMD2C,D,E、F)もあります。

 

日本では、悪性肢帯型筋ジストロフィー、欧米の教科書ではchildhood muscular dystrophy と呼ばれています。心筋障害と呼吸障害は現れることがあります。

 

最初に気付かれる症状は歩行異常に関するものです。走れない、転びやすい、

階段昇降困難、疲れやすいなど。

立ち上がる時にかなりの努力が要ります。立ち上がる時、膝に手をあてて立ちます。

 

病型によって、進行が遅いものがあれば、早いものもあります。

             

             

                  常染色体劣性遺伝 LGMD 2

 

LGMD 2A

*家族によってばらつきが大きいです。85%の患者は、穏やかな病型です。

*発病は2と40歳の間、平均は14歳です。

*通常、発病してから、車椅子を使用するまで10年から30年がかかります。

*拘縮は、特に足首が早めの特徴で、それは爪先歩行がもたらしたものです。

*最も影響を受けている筋肉は、大臀筋(だいでんきん)と大内転筋

 (だいないてんきん)です。

*筋肉萎縮が一般的です。

*脊椎前彎症(lordosis)が見られます。

*翼状肩甲骨は一般的です。

*腓骨筋(ひこつきん)と前脛骨筋(ぜんけいこつきん)が弱く、かかとで歩くことが

 出来ません。

*呼吸障害が予想されるケースもあります。

*軽い精神の遅れがある患者もいます。

 

LGMD 2B

*通常、穏やかな進行を示している病型です。

*腓腹筋(ひふくきん)が弱く、爪先で立って歩くことが出来ない例もあります。

*発病は早い時、10代で、遅い時に30代後半です。

*車椅子生活になるのは、発病してから30年後です。

*心筋障害がありません。

*ふくらはぎの筋肉の肥大が見られません。

 

LGMD 2C

*ほとんどの患者は重い病状です。しかし、たまに比較的に軽いケースも報告されて

 います。

*発病年齢は平均5,6歳です。

*10代後半になると、歩行困難で、車椅子を使うようになります。

*脊椎前彎症(lordosis)が見られます。

*病気の重さと進行の速さは、発病の時期と関係がありません。

*呼吸障害は30代に入ってからです。

*知覚神経の 聴覚障害が見られるケースもあります。

 

LGMD 2D

*この病型はアダリンのレベルによって病状が異なります。アダリンが少なければ

 なるほど病状が重くなります。

*発病は2と15歳の間です。

*発病が早い患者は、急速な進行によって、車椅子の使用も早いのです。

*心筋障害はめったに報告されていません。

*病状の重い患者は大腿四頭筋(だいたいしとうきん)が弱く、翼状肩甲骨も見られます。

 

LGMD 2E

*重い病型の一つです。

*発病は通常2歳と10代半ばの間です。

*ほとんどの患者は16歳までに歩行が出来なくなります。

*舌とふくらはぎの筋肉の肥大が見られます。これは脂肪組織の浸潤であって,筋肉が

 肥大するわけでないので,仮性肥大と呼ばれています。

*翼状肩甲骨も見られます。

 

LGMD 2F

*すべての患者の病状が重いです。

*発病は2と10歳の間です。

*車椅子を使うようになるのは16歳前です。

*通常、20歳前後に患者の死亡例が多いのです。

*ふくらはぎの筋肉の仮性肥大があって、つりやすいです。

 

LGMD 2G

*ほとんどの患者は、穏やかな進行を示しています。

*発病は通常、10代前半の頃です。

*下垂足が見られます。

*患者は発病して20年後に車椅子生活になります。

 

LGMD 2H

*進行が遅い病型です。

*発病は8と27歳の間です。無症状のために30代で診断される患者もいます。

*背痛と疲労は一般的な兆候です。

*心筋障害は報告されていません。

*進行が遅いため、50歳過ぎて歩行も可能です。

 

LGMD 2I

*発病は2と27歳の間です。61%は5歳の時です。

*下半身の筋肉は先に弱ってきます。

*77%の患者にはふくらはぎと舌の仮性肥大が見られます。

*進行は発病の時期によって、違います。発病が速ければ早いほど進行も速いです。

*30%の患者には呼吸障害が見られます。

*30%から50%の患者の場合は軽い心筋症がエコーの検査で発見されます。

*脊椎側湾症も見られます。

LGMD
分類
LGMD 2
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